読売も「大幅な後退だ」と批判する

最後に1月31日付の読売新聞の社説を取り上げよう。ちなみに今回、読売社説が最初に「受動喫煙防止法案」をテーマにしていた。

読売社説は受動喫煙対策の厚労省法案の内容を客観的に書いた後、「法整備の動きが再開されたことは前進だ。防止策を義務化する意義は小さくない」と厚労省法案を肯定するかのように受け取れる書き方をする。

この書きぶりを見て一瞬、さては読売、またもや政府の肩を持つ気なのかと疑ったが、すぐにその疑いが間違いだと分かった。

続いて「問題は、健康被害がどれだけ解消されるかだ」と指摘し、「今回の内容は大幅な後退だ。飲食店の規制を巡って、自民党内から当初案に猛反対の声が上がり、法案化が頓挫した影響だろう」と解説しているからだ。

さらに厚労省法案の甘さと屋内全面禁煙の必要性を次のように訴える。

「喫煙表示があっても、仕事上の付き合いなどで入店を避けられない場合はあり得る。店舗従業員の受動喫煙も残る」
「世界保健機関(WHO)は、屋内全面禁煙以外は効果がないと指摘し、喫煙室の設置にも否定的だ。飲食店やバーを含めて屋内全面禁煙を法制化した国は約50に上る」
「東京五輪を控え、日本が対策に消極的だと非難される事態は避けねばならない」
「深刻な健康被害を考えれば、屋内全面禁煙の範囲を可能な限り拡大していくことが望ましい」

厚労省は業界の圧力に屈してはいけない

朝日も毎日も読売も、足並みをそろえて厚労省の法案を批判している。飲食業界は屋内全面禁煙による客離れを心配しているようだが、厚労省はそうした業界の圧力に屈してはいけない。

ところで沙鴎一歩は20年ほど前まで1日30本以上のたばこを吸っていた。机の上に灰皿を置き、たばこを吸いながらパソコンに原稿を打つ。吸うたばこもハイライトやショートホープとニコチンやタールが多く、強いものばかりだった。指先はいつもたばこ臭く、歯の裏側はヤニで真っ黒になっていた。

しかし思い切って禁煙してからは口の中がすっきりとして朝のコーヒーがとてもうまくなった。体の調子がよくなり、前向きで仕事に取り組めるようになった。どこから考えても、だれが何と言おうと、たばこは発がん物資であり、体に悪いのである。そのたばこの害を他にまき散らす受動喫煙はもっての外である。

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