指揮者に魅せられる『ラデツキー行進曲』
今年もテレビ中継で見た人もいらっしゃるだろう。そう、最後の曲とはウィーンフィルのニューイヤーコンサートでもおなじみのヨハン・シュトラウス1世作曲『ラデツキー行進曲』である。
ぜひ、YouTubeの動画で見てほしい。おすすめは、マリス・ヤンソンスが指揮をしているニューイヤーコンサートだ。ヤンソンスは歩いて登場しながら、始まりの棒を振り、嬉しそうに指揮台に上がってくる。その姿を見ているだけで十分楽しいのだが、この楽曲は、途中で観客も一緒に手拍子を叩いて参加でき、それを見るのがまた楽しい。
指揮者は、ときどき観客のほうへ体を向け、観客に手拍子の入りや大きさを指示している。演奏者だけでなく、観客も巻き込み、ホール全体を音楽で統制する。しかもそれを軽々と、楽しそうに。ホールのみんなが幸せなる。世代も国境も越えて、一つになる。指揮者はその手と表情で、それぞれの立場の力を引き出していく。
そうだ! 私もこうして、みんなで、場所を、空気を、そして新しい何かを作っていくために、今頑張っているんだった! そんなことを思い出させてくれるのがヤンソンスの指揮だ。
「さっきはイライラして、申し訳なかった」
そんなふうに謝ることはできないかもしれないが、クラシック音楽を聴いて、気持ちを整え、盛り上げて前に進めば、周りもきっとそんなあなたが発する前向きな空気に巻き込まれていくに違いない。
さあ、経営者のみなさま。今年もまた一緒に頑張ってまいりましょう。音楽をともに奏でる仲間のように。そしてまた、一人ひとりがみな、有能な指揮者のように。
・リスト『半音階的大ギャロップ』
・ショパン『幻想即興曲』
・ヴェルディ『怒りの日』
・オルフ『カルミナ・ブラーナ おお、運命の女神よ』
・ヨハン・シュトラウス1世『ラデツキー行進曲』