上司からの、いい本よりも売れる本を作れというプレッシャーはどんどん強くなる。斬新な企画を考える暇もカネも与えてはくれない。したがって他で売れている本のモノマネ本をこぞって出すようになるのだ。
読者と同じ目線で考えられるかどうか
藤原書店の藤原良雄店主はこういっている。
「いまの出版危機というのは、編集者の不在に求められるともいえると思います。それこそグローバルに、自分の世界観、歴史観というものをもって企画するのが仮に編集者だとすれば、そういう編集者はいなくなった。出版社がもっと編集者を育ててこなければいけなかったんじゃないかとさえ思います」
さまざまな経験や違う環境、生き方をしてきた人間たちが集まり、切磋琢磨して無から有を生み出す。
もし、講談社や集英社、小学館の経営陣が、東洋経済オンラインの記事を読んで、電通や三菱商事より優秀な人間が来ていると喜んでいるとしたら、この業界に未来はない。
もともと出版というのは机と電話ひとつあれば始められたのだ。あとはひたすら企画を考えればいい。その時一番大事なのは、読者と同じ目線で考えられるかどうかである。偏差値など関係ない。
有名企業といわれ、大きなビルに入り、難関大学からそつのない社員をそろえても、ゴミの山を築くだけである。