このように考えていくと、オリンピック後の景気後退はあるとしても、それは限定的なものであり、基本的に湾岸エリアを含む好立地エリアの物件価格は、一時的に上下動しても、暴落したまま放置されることは考えづらいといえます。なぜなら、湾岸エリアには、銀座、新橋、日本橋、大手町、丸の内などの東京の中心地にアクセスしやすいという大きなメリットがあるからです。今後、日本経済が縮小して国の勢いが衰えても、銀座をはじめとする隣接エリアのブランドが地に落ちることは考えにくいでしょう。

東京の湾岸という場所は、地震による津波被害があるのでは? と不安視する声もあります。もちろん、津波被害に遭う可能性はあります。東京湾は内海なので、東京湾内が震源地でなければ、大津波に飲み込まれるようなことはないかもしれませんが、ある程度の津波被害は十分起こりえます。

しかし、大規模な震災ともなれば、湾岸エリアに限らずどこにいようと危険です。東京の場合、東側よりは地盤が強いといわれる西寄りの武蔵野台地で不動産を探すという手はあります。だからといって、武蔵野台地であれば絶対安全というわけでは必ずしもないのです。

実際は不確定要素の多い津波のリスクより、日常の利便性を重視する人のほうが多いのでしょう。よって、将来の湾岸エリアが、高齢化と空き家化の進む第二の多摩ニュータウンになるような事態は起こりづらいといえます。

「なだらかに下落し続ける不動産」の憂鬱

これまで見てきたような、都心3区、あるいは5区などの利便性が高いブランドエリアで、さらにタワーマンションなど、建物自体にブランド力がある不動産は、「価値を維持する、あるいは上げる不動産」といえるでしょう。一方で、過疎地などの利便性が悪いエリアの不動産、老朽化して手がつけられなくなったマンション、立地適正化計画のエリア外にある不動産などは、今後の「限りなく無価値になる、あるいはマイナス資産となる不動産」予備軍といわざるをえません。