自ら企画した「都市ブランド・イメージ調査」で国内主要8都市のうち「魅力のない街」第1位に選ばれてしまった名古屋市。「結婚式はド派手なのに、とにかく値切る」「タンス預金は多いのに、開店の花輪を見ると花を抜いて持って帰る」。こんな噂がまことしやかに流れる名古屋人の金銭感覚について、河村たかし市長にぶつけてみた。
──名古屋といえば、金遣いが“どえりゃあ荒い”イメージがありますが。
それは江戸時代に御三家筆頭だった時代の話。木曽のヒノキが力をもっとったからな。徳川吉宗おるがね。あれはどえりゃあ辛気くせえ人で、緊縮財政を打ち出して、「四公六民」の税金を「五公五民」にしようとしたんだわ。ほいでも尾張にゃあ第7藩主の徳川宗春というスーパースターがおって、「とろいこと言ったらいかん、庶民の経済があって政治が回るんじゃあ」と幕府に対立して、四公六民を貫いた。
でもそれで幕府に目をつけられて倹約した。うちのおかあちゃんも派手じゃにゃあしな。結婚式も全然、派手とは思わんけどなあ。わしが小さなころ、いっぺんだけ2階から餅投げする結婚式を見たけど、普通の家だったね。名古屋は武家の街だで、京都貴族と違って質素なんだわ。ひつまぶしってあるがね。あれもね、人が残したうなぎをもう一回バラバラにして食ってまおうというので出来たという説があるぐらいよ。これ言うとうなぎ屋に怒られるんだけど。
──よく名古屋人は商談時、請求時、支払時、納品時に、「4回値切る」と言われます。
まあ、「よう値切る」と言われることは言われるけど、大阪のほうが値切るがね。
──名古屋は「タンス預金」に熱心で、伊勢湾台風で床上浸水したときは、1万円札がプカプカ浮かんだという話も。
貯蓄率は高いと言われとるわね。タンス預金は見たことねえがな。しかしそら、ひでえギャグだ(笑)。
──ただ、金を稼いではいる。
圧倒的な貿易黒字で、毎年6兆円だな。日本一の担税都市として、7割を国に納めて日本を支えとる。世界一といってもいい産業都市だわ。トヨタ自動車のおかげが半分あるけど。