ファーストリテイリングの柳井正社長は『経営者になるためのノート』をユニクロ全店長に配布している。2015年、門外不出だったこのノートがPHP研究所から出版された。ノートの作成を手伝った経営学者の楠木建氏は「本文を読むだけでは、このノートの価値の10%も享受することはできない」という。どう使えばいいのか。解説してもらった――。
(左)柳井 正氏(右)『経営者になるためのノート』(柳井 正著・PHP研究所刊)「このノートを踏み台にして、あなたに柳井正を超えていってもらうこと、それが私の心からの願いです。」――本ノートの使い方(7ページ)より

なぜ柳井正の口癖は「当たり前」なのか

7年ほど前、柳井正さんから「社内教育機関『FRMIC』の立ち上げを手伝ってほしい」といわれました。私と『経営者になるためのノート』(PHP研究所)との関わりは、そのときまでさかのぼります。

「FRMIC」は従来型の職場を離れて学ぶような社内教育機関とは、まったく異なる発想を持っています。あくまで日々の自分の仕事の中で、自分の頭で考え、目の前の課題を解決することで、経営者人材を育てることが狙いです。