「エーオンは、2010-11シーズンからイングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドの胸スポンサーとなっていました。最大の目的は、ブランド認知の向上です。今やプレミアリーグはテレビを通じて世界中で放映されており、その中でもマンチェスター・ユナイテッドは『世界で最も人気のあるスポーツクラブ』と評価されるなど特に人気があります。その胸スポンサーになることは、世界中のマンチェスター・ユナイテッドファンに対してエーオンのブランド認知を最も効率的に図ることができたのです」
マンUの「胸スポンサー」から降りた理由
しかし、同社は2013-14シーズンをもって胸スポンサーから降りた(現在は、よりスポンサー料が低いトレーニングウェアのスポンサーとなっている)。これはいったいどういうことなのだろうか?
「決して金額的な面で折り合いがつかなくなったわけではなく、エーオンが意図的に降りたのです。胸スポンサーだった4シーズンで十分にブランド認知を図れたため、そこにいつまでも多額の資金を投資していても意味が無いと判断したわけです」
同社は次のステップとして、胸スポンサーを降りることで生まれた余剰資金を、売り上げに直結する形で投資している。具体的には、チーム全員の「ライフプランニング・プログラム」を実施し、その告知をする権利へと切り替えたのだ。エーオンが実際に売り出したい「ライフプランニング・プログラム」という商材を、人気のあるマンチェスター・ユナイテッドの選手を通して訴求することで、売り上げ増を図っているのだ。
すでに楽天の広告効果は金額以上
前出の楽天も、エーオンと同様にスポンサーシップを活用している。楽天は昨年、欧州全体で100人前後の従業員削減を発表するなど、海外事業で伸び悩んでいる。世界中にファンを持つバルセロナとのスポンサー契約は、グローバルでのブランド認知をひろげる上で非常に有効な手段だといえるだろう。実際、スポンサー契約についての報道によって、すでに年間スポンサー金額分を越える広告効果があったという試算もある。今回の契約にはそれだけのインパクトがあった。
だが、エーオンの事例でもわかるように、ブランド認知というひとつの目的のためであれば、何年間も多額の投資をつづけることは「意味が無い」と判断される恐れがある。今後の課題は、獲得したブランド認知をベースに、スポンサー契約の効果をいかにして次のステージへとつなげられるかにあるだろう。