何度も何度も、繰り返し見てきた風景のなかにぼくは立っていた。

津波に襲われ瓦礫に覆われた町――。宮城県南三陸町志津川。テレビの映像や新聞の写真を通して町をまるごとのみ込む津波の力に驚き、おののいていた。けれども、ぼくは映像や画像からは決して伝わってこない確かな痛みをこの両肩に刻んだ、この日を決して忘れない。

東京に暮らすぼくが被災地からの電話を受けたのは本震翌日の夜。仙台市の出版社「荒あ らえみし蝦夷」の代表取締役・土方正志さん(48歳)からだった。十数年前まで東京でフリーのライターや編集者として活動していた土方さんは、民俗学者・赤坂憲雄さんが提唱する「東北学」に賛同して「荒蝦夷」を設立した。10年ほど前から、山形県出身のぼくも土方さんたちとともに東北各地を歩いてきた。

(初沢亜利=撮影)