本当に安全な石けんを選ぶためには

冒頭に触れた石けん選びに関して、本当に安心安全な石けんを見極めるためのコツはあるのだろうか?

「石けんは基本的に弱アルカリ性の物質ですので、化学的な性質から判断すると、皮膚を洗う場合は、できれば弱酸性や中性の洗浄料を使うのが好ましいことになりますね。肌や毛髪洗浄剤を選ぶ場合、最も重要なのは、自分の感覚を大切にすることです。香りや洗ったときの感触、洗い上がりなどを一番よく感じられるのは自分自身なのです。過剰な広告や製品のキャッチコピーにうたわれている効果効能を鵜呑みにして使い続けることは、避けた方がよいでしょう。

また、化学物質などのアレルギーがある場合は、できるだけピュアなものを選ぶことをおすすめします。実は皮膚のトラブルの原因となるのは、界面活性剤よりも香料などの化学物質が多いのです。

いずれにしても自分の身体の感覚を信じて、これがよさそうだなと思ったら使うというのがよいと思います。その上で、身体に異変があった場合は、そこに共通する成分を突き止め、その成分が含まれていない製品を試してみる。それを繰り返し、本当に自分にあった石けんを見つけ出すことが一番信頼できるやり方ではないでしょうか」(大矢氏)

生活するうえでの必需品、石けん。効果効能などの商品情報だけで判断するのではなく、本来人間に備わった“感覚“を優先させて選ぶ、という大矢氏からのメッセージは、石けんだけに限らずあらゆるものに当てはまりそうだ。

米国から始まった今回の規制は、さまざまな製品・サービルをよりシンプルにミニマムにしていくという点からも、他の産業に一石を投じることになるのではないだろうか。

大矢勝(おおや・まさる)
横浜国立大学大学院環境情報研究院 人工環境と情報部門 教授。洗浄と洗剤に関する研究を行う。著書に『図解入門よくわかる最新洗浄・洗剤の基本と仕組み』(秀和システム)、『環境情報学 地球環境時代の情報リテラシー』(大学教育出版)などがある。
(構成=富岡麻美)
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