今後はソフトウェアの改革を
実は小林氏とまったく同じ話をしてくれた人物がいた。それがグループCEOの井上亮氏だ。
「男性は概して“会社人間”という一つの顔しか持っていません。だから、定年退職すると家にいてもやることがなくなってしまう。長期的な視野に立った場合、実は男性の働き方こそ変革が必要なのです」と語る。
しかし一方で、女性社員に対しても厳しい視線を送る。1年間の育児休暇を取得して復職した後、以前と同じような質の働きができるようにちゃんと準備をしているかどうか。実は女性の側にも自ら殻を破る努力が求められているというのだ。
「例えば、部署内での会議で発言するのはほとんどが男性という状況があります。上司である管理職の男女比率がまだまだ男性のほうが高いという背景もあるかもしれません。それでも、これでは女性自身が男女格差をつくっていると言われても仕方ありません」
ただし、それでも多くの企業のように女性管理職の比率など数値を設定して目標にすることは本当は避けたいという。それでは、女性活躍推進という一つの視点に偏りすぎてしまい、ダイバーシティとは正反対の方向に向かってしまうと考えているからだ。
「育児休暇制度をはじめ、女性活躍のためのハードウェアという点で、当社はおそらく上場企業の中でもトップクラスだと思います。しかし、男性社員、女性社員双方のマインドというソフトウェアの面ではまだまだ。これまで主流だった男性上司――男性部下・女性部下という形に加えて、女性上司――男性部下・女性部下といったケースで、どんな働き方・働かせ方をすればいいのか。対応の仕方は職種によっても異なるでしょう。最適なあり方をさらに模索していきたい」