また、結婚・出産・育児といったライフイベントに応じて女性自らキャリアコースを選べるキャリアセレクト制度も12年から始まっている。ここで掲げられた女性活躍推進の柱は、育児を理由に女性を辞めさせない「両立支援」と、より上のステージで活躍する女性を増やす「女性のキャリア支援」である。
こうした施策の効果もあり、女性社員に占めるワーキングマザーの比率は、05年の10.1%から15年には32.4%と約3倍に増加。育児休暇取得者比率も約4倍に増えた。
「以前は結婚や出産で退社する女性が2~3割はいた印象ですが、現在ではほとんどいません。何よりも2人目の子どもを産む女性社員が増えたことがうれしいですね」と脇氏は顔をほころばせるが、一方で次のようにも続ける。
「当社の場合、多様性を重んじる社風がありますから、上から『女性の活躍を推進しよう』と言ってもうまくはいきません。それに、そんなことをすれば女性が自ら差別を助長することにもなりかねません。役職につく=活躍というわけでもありません。多様な働き方を認めたうえで、さらに上を目指す女性がもっと現れてくれればと願っています」
社内で女性が活躍できる土壌を育成してきたオリックスグループ。男性社員はこうした動きをどのようにとらえているのだろうか。比較的、女性社員の比率が高いオリックス生命保険で営業推進部長を務める小林健氏は、「女性だから、ということは特に意識していません」と断言する。