会社でおもしろい仕事を任せてもらうためにはどうすればいい? C CHANNEL社長の森川亮さんがサラリーマン時代に実践していた仕事術とは――。

テクノロジーの進化により、今までになかった「新しい仕事」が生まれています。この連載では、リクルートライフスタイルのアナリストであり、データサイエンティストとして活躍する原田博植さんを聞き手に迎え、新しい仕事の領域を切り開くフロントランナーにインタビューを行います。

今回はハンゲーム、LINE、C CHANNELと、新しい事業に挑戦し続ける森川亮さんに、楽しい仕事を手に入れるための方法についてお話を聞きました。

挑戦する前に諦めない

【リクルートライフスタイル 原田博植さん(以下、原田)】森川さんは、LINEの社長を2015年に退任し、女性向けの動画メディアC CHANNELを立ち上げました。女性をターゲットにした動画を選んだ理由は?

【C CHANNEL 森川亮さん(以下、森川)】C CHANNELの立ち上げは、メディア業界を変えたいと思ったところから出発しています。しかし、年配の男性というのは、変わることが嫌いな人が多く、変化に反発しがちです。変化に乗るのが一番早いのは、女性と子供です。目的を達成するためには、確率が高いものからやるべきなので、女性をターゲットにしました。

女性向け動画メディア「C CHANNEL」(http://www.cchan.tv/)。クリッパーと呼ばれるタレント・モデルや一般ユーザーによってスマートフォンで撮影された縦長動画を毎日配信する。ヘアアレンジやメイク、料理、DIYなど、静止画ではコツがつかみづらいHow Toを、動画を使用して分かりやすく、魅力的に伝える。月間の動画再生数は1億2000万を超える(2016年6月現在)。

【原田】若い女性というのは、森川さんにとっては異文化ですが、抵抗はありませんでしたか?

【森川】むしろ、客観的に見ることができるのでいいですね。自分で理解することは難しいかもしれないけれど、誰か理解できる人を連れてくればいい。手段はいろいろあるので、異文化は壁にはなりません。

【原田】自分でビジネスを立ち上げるのは、大きなチャレンジだったのでは?

【森川】日本人って、やる前にあきらめてしまう人が多いんですよね。やる前からできないと思い込んでしまう。過去にチャレンジして失敗した人がいると、単にその人の能力が低かっただけかもしれないのに、それ以上は成功できないものだと考えてしまうところがあるように思います。

【原田】新しい分野に挑戦しようとすると、「無理だ」と足をひっぱりあきらめさせようとする人が出てきます。

【森川】いろんな人が邪魔してくるのを乗り越えないといけません。説得する必要はあります。ただ、勘違いする人が多いのですが、そこで必要なのは説明する力ではありません。実績を見せることの方が重要。「今これくらいできるんだから、これを5倍やれば5倍の結果が出るはずだ」と実績を見せ、それを積み重ねて信頼を得るのです。

【原田】私がやっているデータサイエンスという分野も、「よく分からない」と言われることが多いです。説明を求められることも多いのですが、それ以上に求められるのは実際にデータサイエンスを使った成果です。説明に時間をかけるより、ゴールを共有して実績を見せる方が早いケースは多いです。

【森川】はなから「自分は女性だから、そもそも認められないんじゃないか」と思い込んで行動を起こさない人がいます。ロールモデルがいないという不満を言う人も多い。しかし、ロールモデルがいないということは、前例がなく、新たなチャレンジができるということで、大きな可能性がある。頑張れば、自分がロールモデルになれるんです。