つまらない仕事ほど、圧倒的なスピードでこなす

森川亮(もりかわ・あきら)さん。C Channel株式会社 代表取締役社長。1967年、神奈川県生まれ。筑波大学卒業後、日本テレビに入社。勤務の傍ら青山学院大学大学院国際政治経済学科でMBA取得。2000年にソニー入社。03年にハンゲームジャパン(現LINE)入社。07年、同社代表取締役社長に就任。15年3月、同社代表取締役社長を退任し、顧問に就任。同年4月より現職。

【原田】一方で、つまらない仕事ばかり任されていると、なかなかモチベーションが上がりません。

【森川】仕事って、朝9時から夕方6時までかけて80%のレベルの仕事しかやらないでいると、上司にすれば「この人はこの程度なのか」と、期待値がどんどん下がってしまう。でも、午後2時までに120%のレベルで仕事を終わらせれば、上司の側は、もっとおもしろい仕事、責任ある仕事を任せたくなります。それくらいやらないと、次のステージに行くことはできないんです。地味ですが、重要なことだと思います。

【原田】森川さんのサラリーマン時代は、いかがでしたか?

【森川】当時の理想は、くだらない仕事をさっさと終わらせて、残りの時間でおもしろい仕事、やりたい仕事をすること。多くの人は、やりたくないつまらない仕事ばかりだとやる気が出ず、決まった時間内に終わらせられずに次の日もつまらない仕事をやることになってしまいます。私はサラリーマン時代、退屈な仕事は午前中に終わらせて、午後は楽しい仕事を探しに行き、自分でプロジェクトを立ち上げたりしていました。やるべきことは終わらせているので、上司も文句は言えません。つまらない仕事ほど、圧倒的なスピードでこなすべきです。

【原田】そうして実績を見せながら認めてもらうわけですね。

【森川】そうです。とはいえ、僕ですら常に否定され続けています。今でも「何をやっているのか分からない」「もっとちゃんと仕事をしなさい」と言われるんですよ。結構頑張っているつもりなんですけどね(笑)。

【原田】そういう時はどうするんですか? どうやって認めてもらうのでしょうか。

【森川】そういうものかと思って受け止めるしかないですね。気にしないようにしています。それに、最初まったく認めてくれない人ほど、大きな結果を出すと認めてくれることが多いように思います。最初からすぐ認めてくれる人は、あまり僕に興味がない場合もありますし。

【原田】それは分かるような気がします。

【森川】否定するのもパワーが要りますから。そういう人が、こちらの実績を見せて評価を変える瞬間を見ると、「やったな」と思いますね。

とにかく、あまり悩まない方がいいと思います。悩んでもどうしようもないので、悩む時間がもったいない。すごくイヤな人がいる場合、なぜその人がイヤな人なのか考え、解決できればいいですが、ただ「イヤだイヤだ」と言っているだけなら時間の無駄です。悩んでモヤモヤしている状態だと、脳の処理能力も落ちます。

人間は複雑です。他人の考えはなかなか理解できません。いろいろな人の気持ちを考え出すときりがありません。あんまり考えすぎないようにしないと。