※本稿は、佐々木正悟『「ToDoリスト」は捨てていい。時間も心も消耗しない仕事術』(大和出版)の一部を再編集したものです。
なによりも先にやるタスク
イギリス人のマーク・フォースターによる『マニャーナの法則』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)というビジネス書があります。
「明日できることを今日やるな」をテーゼとした独特の仕事術で、彼は「朝起きてすぐ大事な仕事を5分でいいから手がける」ようすすめています。
なによりも優先し、なによりも先にやるという意味でそれを「ファーストタスク」と名づけたのです。
日本でもよく似た方法論を『思考の整理学』(筑摩書房)で有名な外山滋比古さんが提唱しています。彼はそれを「朝飯前」と名づけ、大事な仕事は「朝食までに片づけてしまう」というわけです。
仕事術コミックライターの岡野純さんは「朝起きてすぐ」漫画を描いて、出勤時の電車の中でネームをまとめるという方法を述べていたことがあります。
これはかなりストイックで、だから会社員をやりながら何冊も漫画を描くといった「離れ技」もできたのでしょう。
現実には、時間としてはそのくらいしかとれないともいえます。
ファーストタスクの3つのタイミング
私自身はとてもこんなことはやれません。
だから私は、仕事を始めてすぐのタスクを「ファーストタスク」としています。
たとえば4月中はずっと、仕事を始めるならこの原稿から書きました。
これだけでもそれなりに効果が上がります。少なくともメールチェックをする前には、原稿を必ず仕上げます。
こう考えると、ファーストタスクのタイミングは3つあるわけです。
「起床直後」と「出社前」と「仕事開始」のタイミングです。
リモートワークやフリーランスの人は、出社の時間はないかもしれません。それでも二度のタイミングで「大事な仕事を先に進める」ことはできます。
つまり、ファーストタスクで大事なのは、確保する時間ではなくて「タイミング」なのです。そのタイミングを逃してしまうと、なかなかそれに取りかかることが難しくなる貴重な機会というわけです。
私の考えるデイリーリストに「優先順」はありません。しかしファーストタスクは例外です。なにより優先するタスクとしてなによりも上位に置くのです。