テクノロジーの進化により10年後にはなくなる職業が話題になっています。例えば経理や人事などといった、これまで安定していてつぶしが利くと見られていた仕事の一部は、ソフトウエアが担ったりクラウドでアウトソースされたりし始めています。その一方で、今までになかった「新しい仕事」が生まれています。
「新しい仕事」はITを活用する分野も多く、性別に関係なく、意欲や能力のある人が活躍できる余地が大きいと考えられます。また育児や介護などで働き方に制約がある人、複数のキャリアを追求する人などにとって、自分に合った働き方をデザインしていける可能性を秘めた分野であるとも言えます。
この連載では、新しい職域を切り開くフロントランナーに、その内容や働き方、マインドセットなどについてのインタビューを行っていきます。聞き手はリクルートライフスタイルのアナリストであり、データサイエンティストとして活躍する原田博植さん。連載第1回となる今回は、その原田さんに単独インタビューを行い、データサイエンティストの仕事の内容や、キャリアとしての可能性について聞きました。
データ分析で事業に貢献
――「データサイエンティスト」という肩書きは、まだあまり聞き慣れませんが、最近生まれたものでしょうか。
【リクルートライフスタイル 原田博植さん(以下、原田)】比較的新しい仕事で、ここ3年くらいで広がってきました。「ビッグデータ」という言葉に象徴される通り、インターネットに流れる情報量が爆発的な速度で増えたことで、必要性が急速に高まりました。
――具体的には、どんな仕事なのですか?
【原田】簡単に言うと、「データを分析することで、事業に貢献する」のがデータサイエンティストです。私は、リクルートでデータサイエンティストの仕事をしていますが、さまざまな事業を横断し、データ分析を使って売り上げを増やし、コスト削減をすることで、利益貢献に邁進しています。
例えば、社内システムのデータを分析すると、無駄な作業がどこでどのように発生しているかが分かります。1つの作業を複数の部署・人が重複して行っていれば、それを一本化することで効率が上げられますし、売り上げの日報を、毎日手作業で表にまとめているのであれば、システム化して自動的に表にすればいい。こうしたことが、コスト削減の面です。
一方、売り上げを増やす面ですが、例えばレストランや美容院などの検索・予約サイト、ホットペッパー グルメ、ホットペッパービューティーでは、より予約しやすいように画面構成を変えることで、ユーザーの利用率を上げられます。こうした提案を、データ分析に基づいて行うのが私の仕事です。