経営と相性がよく、将来性も大
――データサイエンティストというと、「統計や分析、データベースの専門家」という印象を受けますが、そういうわけではないのですね?
【原田】統計や分析、データベースに関する知識や業務経験はもちろん大切ですが、それが全てではないですし、逆にそれらだけでも足りません。ビジネスや、顧客・ユーザーとのコミュニケーションを考慮しないで、机上で統計の手法をはめこもうとしても、うまくいきません。私は、データサイエンティストの職務要件定義を「ITのエンジニアリング技術と数学的な素養を持ち、データを活用して事業で成果を出す」と表現しました。「ITのエンジニアリング技術」にはプログラミングの知識が含まれますし、「数学的な素養」には統計分析が含まれます。事業、分析、エンジニアリング、それらを混ぜ合わせて成果を目指す職能です。
――「データを活用して事業に貢献する」というと、EC(electronic commerce、電子商取引)などのネットサービスが対象という印象を受けます。今後どんな企業でデータサイエンティストが活躍できるのでしょうか?
【原田】私は、すべての企業が対象になると思います。オンラインで事業を行っている企業がデータを活用するのは当たり前です。最近では、オフラインで大きなビジネスをしている会社にも、データ活用は広がっています。航空会社や金融機関、アパレルや小売りなどの企業でも、これまでと違うデータ活用に注力して事業を拡大したり、業務を改善したりしようとする動きが出てきています。
もともと経営は、ある意味とてもデジタルな世界で、効果が見えることについては、広く導入しようという判断が下されていくものです。そして現代では、どんな会社でも、どんな部署・職種でも、データを使って売り上げやコストにインパクトを与えられる余地がたくさんあります。ですから、キャリアとしても非常に将来性があります。今後需要が増えることはあっても減ることはまずないと思います。