総合職キャリアが30代・40代で求めるもの
こうした総合職として第一線で仕事をしてきたキャリア女性たちは、仕事選択において育児と仕事の両立に加えて、同じくらい自身の「能力発揮」すなわち仕事の質ややりがいを重視します。私たちが実施したアンケート調査によれば、「仕事を選択するうえで重視するもの」(複数回答可)を尋ねると、図のように「ワークライフバランスが実現できるかどうか」が73%でトップですが、それに続くのが「スキル・経験が生かせる仕事内容か」(58%)、「やりがいを感じられる仕事内容か」(51%)となります。
「出産前は、とにかく数をこなして残業ありきだったが、出産後は限られた時間の中で生産性を高めて質の良い仕事をしたいと思うようになった」という発言に象徴されるように「時間が限られているからこそ、自分のスキルや経験を生かせる仕事で質を高めて “濃く”働きたい」という意識が高まる傾向が見られます。「ワークライフバランスを保ちながらも、長く働くには“専門スキル”が必要だと考えるようになった」「全国どこへ行っても“私でなければできない仕事”を開拓する必要があると思った」など、むしろスキルアップ意識が刺激される女性もおり、そんな姿からも“ゆるキャリ志向”とはかけ離れたキャリア継続に対する真剣さ、切実さが伝わってきます。
このような背景があり、所属する組織で自身の能力が発揮できないとなると、豊富な知識・経験を積んだ30代・40代の働く女性の皆さんは退職を考えるようになります。より自身の能力を活かせるような会社へ転職される方もいますし、これを機に独立……つまりフリーランスとして働き始める方もいます。実際、私たちのご登録者アンケートではおよそ3割の方が、現在の働き方を“フリーランス”として回答しています。
フリーランスと聞くと、エンジニアやプログラマーなどのIT系職種の方か、ライターやデザイナーなどのクリエイティブ系職種の方の働き方という印象を抱く方も多いかもしれませんね。ところが、私たちのご登録者はいわゆる“文系総合職”の方が中心。企画・マーケティング・PRや、人事・経理などの管理部門で10年~15年ほど経験を積んでこられた方々です。 “社員”である以上、いつ、どこで、どんな仕事に就くかは会社の指示に従わざるをえないところがあります。本当の意味で自由にフレキシブルに働きたいと願う女性たちの中には、あえて安定した“社員”という立場を捨て、フリーランスという働き方を選ぶ人たちが出てきているのです。
私たちWarisに登録しているフリーランスの方々の平均月収は28万円。月収50万円以上を超える女性も12%に達しています。既婚者が9割を占めるものの、“主婦のお小遣い稼ぎ”ではなく、働き方のフレキシビリティを確保しつつ、これまで培った知識・経験を活かして、生計を立てるのに十分な報酬を得ている自立した総合職フリーランスの姿が見られます。