出産・育児より重たい“仕事への不満”

結果(複数回答可)は、「これまでの職場ではキャリアアップできないと思ったため(39%)」と「仕事にやりがいはあったが、家族との時間のバランスが確保できなくなったため(38%)」がほぼ同じ割合でトップとなりました。これに「新しい環境で仕事をしたいと思ったため(36%)」「これまでの職場ではある程度、仕事を“やり切った”感覚があったため(31%)」が続きます。

設問「あなたが退職・転職・独立を検討したきっかけとなったことを教えてください」より。回答の上位5位を抜粋。
 

8割の回答者がワーキングマザーなのですが、必ずしも育児や出産そのものが退職の直接のきっかけになるわけではありません。むしろ仕事への不満が退職を後押しする現状が浮かび上がってきました。

短時間勤務制度の浸透により、“両立支援”の環境は整ってきています。ところが長時間労働やそれに基づく制度・評価が依然としてベースにあるため、育児期人材や短時間勤務人材が能力を発揮するには壁にぶち当たることも多いのです。思うように力を発揮できない不満や、将来のキャリア形成への不安が、彼女たちに退職を検討させる要因となっています。

「育休取得や短時間勤務を選択すると昇進できない社内システムだった。実績を残しても評価してもらえない。待遇も新入社員より下になってしまう」「時短勤務を選択したら、補助的な業務に配置転換されてしまった」「子どものお迎えのため18時には退社するが、プロジェクト推進にあたり重要な決定は自分が退社した後に行われる。進捗に追いつくのが難しい……」――アンケートからはこんな女性たちの声が聞こえてきます。

「育児中や時短勤務だと、それだけで低い評価になってしまう」「育児中や時短勤務ではやりがいのある仕事を任せてもらえない」――「誰もが活躍できる一億総活躍社会の実現」が叫ばれるなか、現実には、豊富な知識・経験を持っているにも関わらず、“週5日・フルタイム・フル常駐+それなりの残業”が“当たり前の働き方”になっており、それに当てはまらない育児期の女性たちは能力を存分に発揮しにくい状況があるのです。