自ら職場を変える女性を育てる
大西氏は1998年に地元の佐川急便延岡店(宮崎県)に入社し、10年間、セールスドライバーをした後、同社で女性初の係長、課長、営業所長と順調に昇進してきた。今は南福岡営業所の所長として、73人の部下をまとめる。そのうち26人が女性だ。
南福岡営業所長になってまず手を付けたのが休憩室。男女共用だったものを別々にした。
「ある日、妊婦さんがつわりで気分が悪いとイスを並べて寝ている横で、男性ドライバーが世間話をしながらお弁当を食べていたんです。これは女性用休憩室が必要だと思いましたね」
大西氏は自ら設けた休憩室でほかの女性たちと一緒に弁当を食べる。そんなとき、彼女たちから仕事や人間関係の悩みを聞くのも大切な仕事だ。文句が出れば、「それを係長に言ったの? 言ったほうがいいよ」と促し、「誰かに変えてほしい」という待ちの姿勢から、「自分で職場を変えていく」と能動的になるようサポートする。
また、ドライバーの女性指導員を育てることにも力を入れる。
「ドライバーとして独り立ちするまでは、助手席に指導員が乗るのですが、狭い軽四で、体の大きな男性指導員が隣に座るだけでも圧迫感がありますし、『覚えが悪い』と大声で叱られて、仕事が嫌になってしまう人もいる。女性ドライバーの定着率を上げるためにも、女性指導員を増やすことが必要です」