ここで、社員の年収ランキング上位10社について、役員の年収を併せて見てみましょう。

社員の年収ランキング上位10社(2014年6月期~2015年5月期)

10社中、キーエンスはテレビ朝日ホールディングスの次に役員報酬の平均が低く、社員の給料との差が少ない結果となりました。

役員にどれだけの報酬を支払うかは会社の業績だけでなく、業界の特徴や会社の方針などによる部分もありますが、キーエンスが社員と役員に大差をつけていないところを見ると、フラットな社風で、また、経営陣が贅沢(ぜいたく)を好まず、堅実な人が多いのではないかと推測されます。その姿勢が業績に反映され、高い利益率につながっているのでしょう。実際、キーエンスの堅実な社風はさまざまなところに現れています。以下、特徴的な部分を見ていきましょう。

頻繁な決算期変更のメリットとは?

キーエンスの堅実さについて、直販制度を生かして営業コストを最小限に抑え、販売管理費のうち人件費及び研究開発費以外に目立って大きな費目がないのは「日本一高い給料を支払える会社キーエンス。高収益の秘密とは?」で述べた通りですが、実はそれ以外の支出にも目を光らせています。その好例が税金です。キーエンスは節税のために、ここ4年でなんと3回も決算期の変更をしています。

高い頻度で決算期の変更をした理由、それには決算日が関係していると思われます。3月決算と言えば、ほとんどの会社の決算日は3月31日です。ところがキーエンスの決算日は3月20日です。では、なぜ決算日をきりのいい月末ではなく、20日にしているのでしょうか。原因を探るために、締め日について、考えてみましょう。