最後の総理のスピーチのときには、手元には私たちが提出した資料があり、「政府が全体の労働時間の抑制や働き方を変えていくことについて、旗振り役を期待しているかということについて期待している人が90%」のところでは、FJのアンケート結果を指差していました。
最後に「36協定における時間外労働規制の在り方について再検討」の明言があったときには喜びのあまり鳥肌が立ちました。これだけ準備しても、何も動かない。もちろん、政治の世界はそういうことのほうが多いのです。すでに多くの人が社会を変えたいと思って、何年も働きかけているのですから。今回のことは、多くの人の長年の努力が実り、空気が変わってきた、流れが変わってきたことの表れでしょう。日本の働き方、長時間労働是正、残業時間の上限規制への大きな一歩です。
しかし法改正は時間がかかります。「労基署による立ち入り調査の新たな目安を残業80時間」という取り締まりの強化が先になります。自分の会社の「36協定の特別条項は何時間なのか?」、チェックしたことがありますか? 人事の方に聞いたら「一般の社員は知らない人が多い」ということです。ぜひチェックしてみてください。
そして「残業時間の把握」は、きちんとされているでしょうか?
少しこの問題に敏感になってみると、さまざまな景色が変わって見えます。
まだまだ先は長いのです。国が長時間労働是正について後戻りしないよう、ぜひ注目し、時には声をあげてください。
今回政府を動かしたのは、私ではなく、フォーラムを開催したメンバーの力だけでもなく、関心を持ち、アンケートに答え、会場にきてくれたみなさんの声なのですから。
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。1億総活躍会議民間議員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊1月5日発売『専業主夫になりたい男たち』(ポプラ新書)。