パートナーの壁は、社会の壁によって出現する?

今回の女性による議論を踏まえて、筆者は次のような仮説を持ちました。

人と社会との間には壁が存在する。パートナーそれぞれに対する「社会の壁」の高さに差が生まれる時、その差が「パートナーの壁」として2人の間に横たわるのではないか、と。

「パートナーの壁」と「社会の壁」の関係

ここで「社会の壁」とは、人が社会と関わろうとした時、越えなければならないハードルのこととします。例えば、産休・育休を経て、復職しようとした場合、子供をどこに預けるか、会社で働ける時間は何時から何時までなのかなど、いろいろなことを調整し、実行していかなければなりません。出産を経た女性、またこれから出産を考える女性にとっては、とても高い壁として感じられることが多いのではないでしょうか。子供の預け先や勤務時間などは、パートナーと共通の課題とも言えますが、一方で、一般的には男性の方が、「自身が産休を取っているわけではない」などの理由から、この壁が女性よりも低く感じられる場合が多いと考えられます。

「私ばかり大変な思いをしている」「私が譲歩して働き方を調整しなければ立ちゆかない」「会社での私の立場を理解していない」「協力すると言っているが、パートナーは実際には復職後の生活がまったくイメージができていない」というように相手の在り方とのギャップを感じる時、その差が「壁」として現れるのではないでしょうか。

育休からの復職を例に挙げましたが、この「社会の壁」は、結婚、介護などでも存在します。また「自分とパートナーによるユニット」を最小単位と考えれば、自分やパートナーの親兄弟との間にも「社会の壁」が在ると考えられます。