パートナーの壁は、高さをコントロールできる

では「社会の壁」によって発生する「パートナーの壁」は、解決することができるのでしょうか。仮説に基づくと、「パートナーの壁」は、パートナーそれぞれに対する「社会の壁」の高さの差によって生まれるため、この差を解消すれば、「パートナーの壁」はなくなることになります。

今回の議論では、「出産」「その後の仕事」といった大きなテーマに向き合う方法として、「対話を通した価値観の理解が重要」という声が多く挙がりました。これは、お互いに立ちはだかる「社会の壁」の高さについて、まずは理解するということに通じます。さらにその理解に基づき、自分の行動を変えれば、相手の「社会の壁」を低くすることができるかもしれません。

また「社会の壁」の高さは、自分とパートナーとの相互理解だけではなく、個人の努力や外部要因によっても下げられます。例えば育休からの復職であれば、「休職前に仕事の実績を作っておく」などが個人の努力に、「会社の制度や公的なサポート、民間のサービスなどを活用する」などが外部要因に当たります。

「社会の壁」は生きている限り、つきまといます。パートナーとともに歩んでいく際、その壁は、自分の方が高いこともあれば、パートナーの方が高いこともあるでしょう。「パートナーの壁」が生まれることはやむを得ません。いずれの場合も、対話や外部サポートなど方法を組み合わせながら、「パートナーの壁」の高さを2人でコントロールしていくことによって、それぞれが目指す働き方、生き方の実現に近づけるのではないでしょうか。

「そもそも男性よりも女性は考えたり悩んだりすることのバリュエーションが多いのでは? と思いました。自分の結婚・出産・キャリアや仕事・働き方のこと、自分の家族や、結婚すればパートナーの家族のこと、子供が成長すれば教育のことやママ友のこと……テーマの多様さにびっくりしました。いろいろな生き方・選択肢がある今の時代が恵まれているのか、大変なのか、答えを出すのは難しいですが(属性不明)」

議論の参加者から寄せられた声です。人生において、男性以上に多くの選択を迫られるのが女性。一人一人異なる「パートナーの壁」について見つめ直してみると、新たな選択肢が発見できるかもしれません。