女性の働き方が変わる10年
では、この女性活躍推進法はどの程度、実効性があるのだろうか。ステップ3で提出する書類には、行動計画に盛り込む取り組み内容の例として「男性の子育て目的の休暇の取得促進」「子どもを育てる労働者が利用できる事業所内保育施設の設置及び運営」「短時間正社員制度の導入・定着」「若手に対する多様なロールモデル、多様なキャリアパス事例の紹介」「非正社員から正社員への転換制度の積極利用」など、さまざまな子育て支援や多様な働き方を実現するための取り組みが多数掲載されている。
どんな取り組みを行動計画に盛り込むかは、企業によって異なり、その本気度にも差は出てくるだろう。しかし、法律として施行されることで、今まで女性活躍推進に積極的でなかった企業も、なんらかのアクションを起こさざるを得ない状況となってくることは確かだ。
なにより、この法律の最大のポイントとなるのは、「女性活躍に関する情報公表」が義務づけられているところだ。従業員301名以上の事業主は就職活動中の学生や求職者が就職先を選ぶ際の参考になるよう、ステップ1で把握した女性活躍に関わる情報を自社ホーム―ページや厚労省のウェブサイトに公表しなくてはならない。
厚労省のウェブサイトには、少なくとも1万5000社の企業の女性活躍状況がデータベース化され、他社と比較して見ることができるようになる。企業によっては採用やブランド戦略などにも影響が及ぶ可能性もあり、これまで女性活躍推進に取り組めずにいた企業の腰を上げさせる効果は期待できるのではないか。
ただし、この法律は10年の時限立法。この先10年間で、女性の働き方はどこまで変わるのか。働く女性の意識もまた変えるべき時がきているのかもしれない。