最強の資産は顧客ロイヤルティ
東京ディズニーランドは1984年に開園して以来、パークチケットの料金を少しずつ引き上げてきました。オリエンタルランドの公式Webサイトでは、「株主・投資家の皆様へ」の中に「IR資料室」が設けられており、経営指標に関するファクトブックが開示されています。
「FACT BOOK 2015」によれば、開園当初のチケット代は3900円でした。それが32年にわたる歳月の間に、9回の値上げを経て2015年3月期までは6400円に値上がりしました。それが2015年4月からは6900円、そして2016年4月からは7400円となるわけですが、併せて、来園者数の推移を見ていくとあることに気づきます。値上げをしても来園者数は減るどころか増え続けているのです。
値上げによって一時的に来園者数が減った年があったにしても、長期的に見ると来園者数はチケットの代金に比例して右肩上がりです。特にここ3年間は来園者がどんどん増えており2014年3月期には3129万人を突破し、翌年の2015年3月期にはそれを上回る3137万人となりました。値上げによる客離れは全く生じていなかったのです。
ということで、ちまたでは値上げによるネガティブな意見が漏れ聞こえますが、実際には来園者の行動にさほど影響を与えないことが分かります。多くの来園者がチケット代以上の価値をパークから見出しているのです。そして来園者がそれほど減らない以上、利益の最大化を追求するために値上げをするというのは企業の行為としては理にかなっているのです。
ただ、それだけが値上げの理由とは考えづらいものです。他の理由として、いろいろな仮説が思い浮かびますが、ここでは「そもそも東京ディズニーリゾートのチケット料金は高いのか」という観点から考えてみます。