業績絶好調で、投資も借金返済も余裕しゃくしゃく
オリエンタルランドが発表している通り、会社は「ゲストの体験価値」を高めてきました。近年の東京ディズニーランドで言えば、2013年に開園30周年のイベントを開催し、2014年からは夜のショー「ワンス・アポン・ア・タイム」をスタート、2015年には一世を風靡した「アナと雪の女王」のパレードを取り入れるなどして、新しい感動や夢を生み出し続けています。そしてその結果は決算数値に如実に表れています。
有価証券報告書によれば、2013年3月期には連結ベースで過去最高の売上高3955億円および当期純利益514億円を達成したにもかかわらず、翌年の2014年3月期にはさらにそれを上回る4735億円の売上高および705億円の当期純利益を計上しました。
売上高の増加に伴い、当期純利益率はこの上ないほど高まり、2013年3月期には13.0%、2014年3月期には14.9%に達しています。そして2015年3月期には売上高が4662億円と少し落ち込んだものの当期純利益率は過去最高の15.5%となりました。それを受けての当期純利益は過去最高の720億円という額です。ここ3年のオリエンタルランドはまさに業績絶好調なのです。
2014年に経済産業省が発表した全国の企業における当期純利益率の平均は2.9%ですので、比較するとオリエンタルランドはかなり高収益だと言えます。一般的に遊園地などのアミューズメント施設は、利益率が高くなりづらいビジネスモデルです。なぜかと言えば、アトラクションの減価償却費や施設維持費といった売上の増減に関わらず発生する固定費が莫大な金額になりがちだからです。こうした施設に関連する固定費に加え、さらに原材料費や経費、多額な人件費などを賄うには相当な売上が必要です。オリエンタルランドの場合はあまりにも売上高が大きいため、固定費を賄ってなお高い利益率を上げられるというまれに見るケースなのです。
ここまで業績がよいと何も3年連続で値上げをしなくても十分にやっていけるように思えます。実際、オリエンタルランドはもうけがあまりにも多いので、ここ3年で毎年200億円規模の投資をしつつも、借入金および社債を948億円も返済しているのです。2015年3月期から2024年3月期の10年間で5000億円レベルの投資をし、パークの増設で新たなエリアを設ける予定だそうですが、今の業績を維持していけば十分に捻出できる額だと考えられます。
経営指標からすると値上げの必然性が感じられないのですが、それでも値上げに踏み切るには、いったいどんな理由があるのでしょうか。