東京ディスニーリゾートが目指すところはどこか?
実は、東京ディズニーランド及び東京ディズニーシーのチケット代は世界のディズニーパークと比較すると最も安上がりです。
アメリカのアナハイムにあるディズ二―ランドは東京ディズニーランドの1.4倍以上もの広さがあり、オーランドにあるディズニーワールドに至っては240倍もの広さを誇るため、単純に料金のみで比較することはできません。ただ、来園者はチケット代として1万円以上を支払ってもいいと考えていることを、各国のディズニーパークの料金が証明しています。これは、来園者にチケット代以上の価値を感じさせられているからこそ成せることです。
東京ディズニーリゾート以外のディズニーのテーマパークはアメリカのウォルト・ディズニー・カンパニーによって運営されており、2014年度における同社のアニュアルレポートによればパークおよびリゾート事業での年間売上は150億ドル(1ドル=112円で換算すると1兆6800億円)、営業利益は26億ドル(1ドル=112円で換算すると2912億円)です。規模もさることながら営業利益率も17.6%と高い数値を示しています。
おそらく東京ディズニーリゾートはアメリカのディズニーランドを目標としており、パークの増設計画はそこに近づくための一歩ではないかと考えられます。それに伴い、パークチケットもまだまだ上がる余地がありそうです。
消費者の気持ちと行動がいつも合致するとは限りません。「随分と高くなったので、もう行かない」と決意しておきながら、しばらくするとそれを忘れて、「やっぱり行って良かった」と満足して帰途につく。このようにゲストが文句を言いつつもリピーターであり続けるというケースもあるのです。
そんなロイヤルティの高い顧客を抱えるオリエンタルランドは、3年連続で値上げをしても実は業績絶好調だということが決算数値から読み取れました。果たして東京ディズニーリゾートの快進撃はどこまで続くのでしょうか。今後の入園料の推移も気になりますが、それと併せて、いつでも客観的な真実を語ってくれる決算数値にも注目していきたいものです。
公認会計士
早稲田大学政治経済学部卒業。大学在学中に公認会計士試験に合格し、優成監査法人勤務を経て独立。在職中に製造業、サービス業、小売業、不動産業など、さまざまな業種の会社の監査に従事する。上場準備企業や倒産企業の監査を通して、飛び交う情報に翻弄されずに会社の実力を見極めるためには有価証券報告書の読解が必要不可欠だと感じ、独立後に『「本当にいい会社」が一目でわかる有価証券報告書の読み方』(プレジデント社)を執筆。現在は会計コンサルのかたわら講演や執筆も行っている。他の著書に『ディズニー魔法の会計』(中経出版)などがある。