中年フリーターはなぜ男性だけが問題視されるのか
――確かに女性と違って、男性が無職だと聞くと「それは厳しい」と思われがちですね。
【田中】今、中年フリーターって言葉が出てきて問題になってますけど、そう聞いてみんながイメージしているのは男だと思うんです。でもパート労働者は女性のほうが多いわけだから、中年フリーターも、実は女性のほうが多い。ところがそれは問題にならず、男の中年フリーターだけが問題視される。男は性別で人生の初期設定がカチッと決まっちゃってて、それはもうフィックスですよと。それではどうにもならないということなんだとぼくは思います。
【川崎】本当にその通りだと私も思っていて……。まず女性側が社会の中で、男性の多様性をもっと認めないと、世の中が閉塞するばかりなんですよね。
来年、うちで婚活サイトをオープンさせるんです。そこでは、出張も多いし海外に行くこともあるし、やることもいっぱいあるし、昇進試験も受けているし、でも結婚したいし!……というキャリア女性向けに、フリーランスとか、家で仕事ができますとか、「海外出張? ついていきます!」みたいなフレキシブルな男性ばかり集めているんです。そうすると、いいマッチングができるなと思って。
女性たちよ、管理職になれ!
――その組み合わせは『ヒモザイル』を思い出しますね(関連記事:東村アキコ『ヒモザイル』は何がアウトだったのか)。でも、バリバリ働きたい女性と、フレキシブルな働き方ができる男性は相性がいいと私も思います。ますますバリバリ働けるようになる。
【川崎】働き方を変える、女性も男性も働きやすい世の中をつくるにはどうしたらいいかというと、介護よりも前に、育児や出産のリミットがある女性たちが管理職になるしかないんですよ。会社のルールメーカーとして、会社のルールを作る会議に出席できる管理職に、女性たちがなるしかないんです。「また女性活用かよ」とか「女性管理職比率かよ」とか、こういう話がいろいろ揶揄(やゆ)されがちなのは知ってますけど、「いいから今は立候補して管理職になれ!」って。で、もう追随を許さないくらい出世しなさい。会社のルールを作れるところにいきなさい。それは男性のためにもなるからと。
「女性管理職比率を何パーセント」などと数字を決めるのは野暮な話ですけど、でもそれを一時的には推し進めなくてはいけないくらい、日本は異常なくらい女性管理職比率が少なすぎるんです。
しかも、女性自身も昇進のモチベーションが少ない。「あんな働き方をしてる部長に私はなれない」とか。でも、イヤだったら管理職になって現状を変えればいいんですよ。でも日本の女性は良妻賢母思想が入ってるんで、「私はパイオニアにはなりたくない」とか、「その会社で初めての部長にもなりたくない」とか言います。
でもね、部長で失敗したって命取られるわけじゃないのよ? 降格するだけでしょう。だから、アベノミクスだ女性活躍推進だって言ってる今がチャンスだから、ぜひ出世して、全員のために、何よりも自分のために、立候補してほしいって、解決方法はそれしかないなと思ってやってます。