この動きにソニー、富士通、NECなども追随する。今後はこうした大胆な「日本型雇用システムの否定」および崩壊がますます進むだろう。とりわけ筆者は以下の動きが加速すると予測する。

経団連の「2013年人事・労務に関するトップ・マネジメント調査結果」によると、すでに17.6%の企業が定期昇給を実施していない。しかも、「賃金制度の見直しを既に実施済み」という企業が84.0%、見直す方向で検討している企業が7.4%にも及ぶ。日本の企業は、「働かないオジサン」にただ高給を払って遊ばせる余裕はもうない。今後、多くの日本企業で“日立ショック”的賃金体系の大幅見直しが行われると予測する。

現状、日本の大手企業は、部付き部長など部下なし管理職が数多く存在し、彼ら彼女らの「賃金貰い過ぎ」が経営を圧迫する課題となっている。そこで各社は真剣に、ポストを減らし、管理職のスリム化をはかっているが、その手法として注目されるのが、いっそ管理職ポストへの就任は、全部公募制にしてしまえというやり方だ。

イントラネットで全社員に「空きポスト」が公開され、それに立候補したい人が自ら手を挙げ、経営の判断で適任と認められれば、承認される。海外企業では当たり前のこの手法がいよいよ日本にも上陸、常識となる日も近いと推察する。

安倍政権の雇用政策で優先課題の一つとされているのが「限定正社員」の普及・促進だ。現状すでに、「地域限定」「職種限定」「時間限定」など多様な限定正社員が見受けられるが、新卒入社時に「旧一般職的」な働き方としてチョイスするケースが多く、「女性限定の働き方」としか認識されていない。

しかし、安倍内閣が限定正社員を本格的に普及させたい目的は女性の雇用創出ではないだろう。ズバリ、本丸は「給料が高過ぎる、中年以上男性社員の限定正社員化」と睨む。ある一定の年齢に達した時、ある一定のランクにまで達していない社員は全員限定正社員にし、給料の大幅見直しを行う。もちろん抵抗勢力の猛反発が予想されるが、そんな時代がもうすぐそこに来ている気がしてならない。