なるか「下克上」

カナダに競り勝てば、続くイギリス、開催国のブラジルにも負けることはあるまい。すべては初戦のカナダ戦、突き詰めれば開始3分間にすべてがかかっている。

サクラセブンズの中村知春主将は、リオ五輪を「下剋上」の大会と表現した。ワールドシリーズ2015~16年シーズンで総合11位に終わった日本が、格上の3チームに対し、波乱を起こすという意味である。

28歳の中村主将は出発に際し、「五輪仕様」ということで黒髪から金髪にイメージチェンジし、ネイルアートも一新した。もちろん、金メダルを連想しての金髪。

「この5年間、ここ(リオ)にいないメンバーを含めて、オリンピックという夢をともに追いかけてきた仲間の思いを一緒に、リオの舞台で“台風の目”となれるよう、金メダルを目指して頑張りたいと思います」

女子セブンズの日本の初戦は現地6日の土曜日、男子日本のそれが現地9日の火曜日となる。いざ、決戦である。桜のエンブレムを背負ったラガーたちが歴史の創始者となることができるだろうか。

松瀬 学(まつせ・まなぶ)●ノンフィクションライター。1960年、長崎県生まれ。早稲田大学ではラグビー部に所属。83年、同大卒業後、共同通信社に入社。運動部記者として、プロ野球、大相撲、オリンピックなどの取材を担当。96年から4年間はニューヨーク勤務。02年に同社退社後、ノンフィクション作家に。日本文藝家協会会員。著書に『汚れた金メダル』(文藝春秋)、『なぜ東京五輪招致は成功したのか?』(扶桑社新書)、『一流コーチのコトバ』(プレジデント社)、『新・スクラム』(東邦出版)など多数。2015年4月より、早稲田大学大学院修士課程に在学中。
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