たとえば、人工知能に動画サイト、ユーチューブの動画を見せ続けると、たった半年で驚くほどスピーチの精度が上がることがわかりました。
自動車については、自動運転から無人運転へと段階が進んでいます。そうなると、“オンデマンド”、つまり、人間の要求に応じて必要なときにだけ車がやってきて、用が済んだら乗り捨てる。そして車は次に必要としている人の元へと向かう、といったことが可能になります。車を所有する必要性がなくなるのです。そうなれば、駐車場の心配も無用です。
アメリカでは、これを実用化しようとしています。限られた都市においては、3年から5年以内に、無人運転車を購入できるようになるでしょう。
アメリカの調査では、自動車はなんと3%の時間しか使われていない、つまり、残りの97%の時間は駐車しているそうです。要求に応じて動く無人運転車が実現すれば、そうした無駄もなくなります。
また、自動運転車が優れた人工知能を手に入れることによって、渋滞も減ります。なぜなら、渋滞を避ける抜け道などのルートを適切に選択できるからです。
メガネ型ウエアラブル(身に着けて持ち歩ける)端末である『グーグル・グラス』は、見たものすべてを記録することができます。第2の脳になるわけですね。しかも、それらが互いにつながれば、脳の情報を横展開できます。数万人の弁護士、数万人の医師が経験したことをすべて学習することも可能です。
(左)グーグルが開発中の自動運転自動車。昨年9月にメディアにお披露目された。(写真=ロイター/AFLO)(右)身に着けるコンピュータ、「グーグル グラス」。プライバシーの観点から個人向けの販売は中止となったが、研究は継続中。(写真=Google/AP/AFLO)
一方、スタンフォード大学での研究実験では、約10万の皮膚がんの画像を、ディープラーニングができる人工知能に学習させました。その結果、皮膚がん診断の精度は、最高の皮膚科医といわれる人より人工知能のほうが勝っているとの結果が出ました。しかも、iPhoneで撮影した画像によって診断ができるのです。
医療・健康の分野では、グーグルXでもプロジェクトを進めています。『インテリジェント・コンタクトレンズ』と呼ばれているものは、人体のさまざまな数値を測定できるコンタクトレンズです。血糖値も測定できますので、糖尿病患者がいつ注射を打たなければならないかも自動的に教えてくれます」