2008年に大阪府知事に就任し、その後、大阪市長となって任期を終えるまでの8年間は、まさに戦いの連続でした。

学者やコンサルタントからたくさんの攻撃を受けました。僕自身も彼らに徹底反論してきましたが、彼らの意見の多くは的外れで、現場で起こっていることが見えていないし、今すぐ対処すべきことをわかっていない。しかも、何ら責任を負っていない立場からの放言なんです。

責任ある意見と責任のない意見はまったく違います。僕は政治家時代、外部から多くの有識者を登用しましたが、そういった人々は、ほかの学者・コンサルと違って、無責任な態度は取れなくなります。役所の中に入って、組織を動かそうとすると、単なる意見、提言だけでは組織は動かない。実行できる責任ある意見と、組織を動かすマネジメント力が必要で、学者はもちろん名だたるコンサルでもその力がないことがよくわかりました。

最近の話題で言えば、僕は“トランプ大統領”が実現したら、政治が刺激を受けると思いますね。こんなことを言うと、「橋下は独裁者としてシンパシーを感じているんだろう」と言い出す人がいるかもしれませんが、はっきり言って、独裁なんて今の民主国家では無理ですよ。彼が大統領になったとしても、共和党にだってタカ派からハト派までそろっているし、優秀な官僚たちも大勢いる。トランプ氏の言うことが本当にむちゃくちゃだと判断したら、官僚たちは「仕事を進めない」ことで抵抗ができる。

米国民が彼に期待しているのは、メキシコとの国境に、メキシコの出費で壁を作らせることではなく、政治を変えることなのだろうと僕は思っています。既得権益と結びついた政治家出身の大統領では、それが無理だと米国民はわかっている。だからトランプ旋風が巻き起こるんです。

※本記事は、橋下徹公式メールマガジン Vol.1のダイジェストです。

(撮影=原貴彦)
【関連記事】
既得権を打ち破れ! 大阪革命「橋下徹の3000日」
独占! 橋下徹「マスコミの大ウソを暴く」
政界展望2016「カギを握るのは菅と橋下」
なぜ橋下市長は「多数決」を迫ったのか