Dr. Kelly A. Turner 
ケリー・ターナー博士
――具体例を教えてください。

【ターナー】アンと言う女性は乳がんになり、食事療法、運動などストレスを減らすために、ありとあらゆることを実践していましたが、がんは消えませんでした。でも医師が予想したよりもはるかに長く生きていました。ある日、伝統的な中国医学を専門にしている医師が、特定のハーブを混ぜて作った漢方薬をお茶として彼女に飲ませました。するとがんが消えたのです。そのとき医師は彼女にこう言いました。「もしあなたが食事療法や運動などを実践していなければ、わたしが作った漢方薬は効かなかったと思う」と。

彼女が実践していたことで、免疫システムが強化されていたのです。そのうえで特別の漢方薬ががんに効いたのです。

――免疫システムを強化することはがんだけではなく、他の病気の治癒にも助けになりますね。

【ターナー】その通りです。それで思い出しました。がん患者ではない読者の多くからも本に対して賞賛の声が届いています。9つのアプローチを使って糖尿病や慢性疲労症候群やHIVから回復したという報告もあります。そういう人たちから「わたしも研究対象にしてくれますか」と聞かれますが、いまのところはがん以外に手が回らない状態です。でもいつかがん以外の病気まで研究対象を拡大しようと考えています。9つのアプローチはすべて免疫システムを強化するものなので、どんな病気の治療にも可能性があるのです。

――「笑い」も免疫システムを強くすると言われていますね。

【ターナー】そうです。「笑い」は鎮痛剤に相当するほどの効果があることが証明されています。もし痛みを感じていたら、市販の鎮痛剤をのんで、5分間腹から笑ってみてください。痛みを抑えるのに効果があると言われています。

――9項目のうちの7項目は意思力や精神力に関係しているが、そうしたものはその人の生まれ育った文化、受けてきた教育にかなり影響を受けると思います。いままで自己決定の経験が乏しかったり、自己と向き合う訓練を受けてこなかった人はまず何をすればいいのでしょうか?

【ターナー】生き続けたいというのは極めて個人的な決断です。アドバイスするのは非常に難しいと思います。自分の内面を見つけて、心が落ち着く場所を見つけようとすることが重要です。いったんそういう場所が見つかれば、自分の本当の気持ちが明確になってくるでしょう。そこで健康になりたいと思うかどうかはその人しだいです。