朝食を食べるか食べないかで、学業成績が全然違う! 日本で初めて科学的に証明した名物教授が、最新データと「伝説の調査」をもとに、そのメカニズムを教えてくれた。

2つの体内時計で頭も体も覚醒させる

毎朝、きちんと食事を摂取しなければいけない理由はもう1つある。朝食を抜くと“時計遺伝子”をリセットできず、体が目覚めないまま勉強することになるからだ。

人間を含む動物が体内時計を持っていることはよく知られている。

体内時計が概日リズム(脳の日周リズム)を刻むのは、後天的に学んだのではなく、生まれつき時計遺伝子という遺伝子を持っているからだ。ただ、時計遺伝子が刻む1日の長さは25時間。そのままでは時計遺伝子が刻む生体のリズム(1日25時間)と実際の生活のリズム(1日24時間)がズレていき、時差ボケのような状態になってしまう。

それを防ぐため、時計遺伝子にはリセット機能がついている。時計遺伝子を毎朝リセットすることでズレを修正して、朝すっきり目覚めて夜に眠くなるという健康的な1日を過ごせるようになるわけだ。

問題は、人間は2種類の体内時計を持っているということだろう。

「わたしたちは、脳の中枢にある主時計と、全身の臓器の細胞の中にある末梢(まっしょう)時計の2つの体内時計を持っています。脳の主時計の針は、朝の強い光を浴びることで網膜から視交叉上核(しこうさじょうかく)に刺激が伝わってリセットされます。一方、末梢時計のほうは朝食を取って胃腸が動きだすことによって針がリセットされます。それぞれリセットするきっかけが異なるので、朝起きたのに食事を取らないと、2つの体内時計がズレて活動の効率が妨げられるのです」

つまり朝食抜きだと、体は半分しか目覚めていない状態になる。これでは勉強もはかどらない。朝食を取る目安は起きてから2時間以内。しっかり朝食を食べて、両方の体内時計を合わせたいところだ。