海外では中立的な情報が充実
今、政府の少子化危機突破タスクフォース(第2期)では「情報提供チーム」で「どうやって正しい妊娠、出産などの知識を届けるか?」が議論されています。
今も思いだされる「女性手帳」騒動の二の舞とならないよう、タスクフォースでは「押し付けにならない妊娠・出産への情報提供」について、慎重な討議が進んでいます。
海外では「インフォームドチョイス」(正確で信頼できる情報を得た上での選択)のためのウェブサイトが充実しています。タスクフォースでは英国、デンマークなど6カ国の情報発信が報告されましたが、いずれも信頼できる中立的な専門家らが解説したもので、政府が公的な助成を行っているものもあります。あくまで個人の選択を支援するためのサイトで「一方的なおしつけにならないように」、細心の注意がはらわれています。医学的なものだけではなく、中には「パートナーに子どもがほしいと告げる時に怖がられない方法は?」などという疑問に応えるものもあり、心理学などの専門家が解説しています。
英国の「Fertistat.com」(http://www.fertistat.com/)は生殖能力自己チェックツールです。生活習慣などの設問に答えると個別アドバイスが受けられます。サイトに入ると、個人用とカップル用があり、広告もなく、日本の情報サイトに比べるとシンプルでわかりやすい作りです。
デンマークのサイトを運営するグループでは、誤解や偏見のある妊活情報が報道された場合、すぐに訂正するように連絡をとるそうです。
日本にもこうした中立的でわかりやすい情報サイトがほしいですね。
どこの広告でもない中立的な専門家による情報を得て、正しい選択をする権利は自分自身のためのものです。タスクフォースのチームメンバーは「選択の応援」をするための専門家がそろっています。「女性手帳」的なものを批判するばかりでなく、後から「知っておけばよかった」と後悔しないように、情報は、ぜひ自分から取りに行きましょう。
少子化ジャーナリスト、作家、昭和女子大女性文化研究所特別研究員、大学講師
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)。