苦手な人の話を聞かなければならないとき
実はこのテーマ、本編には入りませんでしたが、どうしても気になる項目として、制作チームの心に、もやもやが残りました。
聞く力が本当に試されるのは、気の合う相手と楽しく話しているときよりも、苦手な相手の話を聞かなければならないときではないか、と考えたからです。
「そこが、知りたい!」という読者のみなさんの声も聞こえてきそうでした。
そこで、嫌いな人や苦手な人の話を聞かなければならないときの現実的な対処法をここでは考えていきます。
◆「なぜ苦手なのか」を自分に問いかける
苦手な人の話を聞くとき、私たちはつい、相手の言動ばかりに目を向けてしまいます。
「あの言い方が嫌だ」
「いつも上から目線に感じる」
そう感じること自体は、自然な反応です。人には相性がありますし、どうしても合わない相手もいます。無理に「苦手だと思ってはいけない」と、自分の感情を否定する必要はありません。ただ、苦手意識が強くなりすぎると、相手が何を話していても、最初から「嫌だ」「聞きたくない」という気持ちで受け取ってしまいます。すると、必要な情報まで耳に入りにくくなります。そんなときは、まず自分に問いかけてみます。
「私は、なぜこの人が苦手なのだろう?」
理由を探してみると、相手そのものが嫌なのではなく、相手の一部の言動に反応していることに気づく場合があります。
また、「この人は、なぜこういう言い方をするのだろう?」と相手の背景を想像しながら聞くのも手です。「見た目や言い方だけではわからない何かがあるのかもしれない」と考えてみると、相手への見方は少し変わります。
いきなり深い質問はNG
◆質問は、無難なものから少しずつ
苦手な相手に、いきなり深い質問をする必要はありません。急に踏み込むと、相手が警戒してしまうこともあります。
まずは、答えやすい質問から入ります。
声・話し方の総合プロデューサーの下間都代子さんは、『「この人なら!」と秒で信頼される声と話し方』(日本実業出版社)で、
「例えば、どこにも興味をそそられないものの、唯一持っているスマホケースがイケていたならこう声をかけよう。
『それ、素敵ですね。どこで買ったのですか?』
好意的な興味から会話をスタートさせると、たいていの相手は嫌な気持ちにはならないので少し心を許してくれる」
と語っています。
こちらが「話を聞く姿勢」を示すことで、相手の警戒心がやわらぐこともあります。
大切なのは、相手を好きになろうとすることではなく、必要な情報を受け取りつつ、相手を少し理解しようとすることです。