まずは褒めてみる
point 好意をきちんと言葉で伝える

自分のよさや努力に気づいてもらえるとうれしいものです。聞き方の本には、「褒めること」の大切さが数多く書かれていました。その人のよさに気づき、それを言葉にして伝えること。その言葉のやり取りが、円滑な人間関係には不可欠です。

聞き方の名著100冊に紹介されていた「褒める」に関わるコツをまとめると、次の3つになります。

◆円滑な人間関係を築く「褒め」のコツ

(1)褒めると相手は話しやすくなる

「褒める」は会話の入り口で大きな効果を発揮します。人は、自分が気に入っているものや、よいと思っていることを認めてもらえると、自然と話しやすくなるからです。たとえば、服装や持ち物、部屋の調度品を見て、「素敵な時計ですね」「きれいな絵ですね」と声をかけるだけでも、会話の空気はやわらぎます。

「最初の質問は、いいところ、聞かれて心地よいところを見つけて、それについての事実質問から始めることをオススメします」
(中田豊一『「良い質問」を40年磨き続けた対話のプロがたどり着いた「なぜ」と聞かない質問術』/ダイヤモンド社)

相手のよさに気づき、言葉にすると、「あなたに関心があります」という気持ちが自然と伝わります。褒め言葉は、会話を始めるための小さな橋渡しにもなるのです。

ビジネスマンの手のひらに乗った笑顔のアイコン
写真=iStock.com/Surachai Chaikit
※写真はイメージです

褒められたときに「謙遜」はいらない

(2)褒められたら素直に受け取る

褒めることが大切なら、褒められたときの受け取り方も大切です。日本では褒められると、「そんなことありません」「まだまだです」と強く謙遜する場面が少なくありません。

ただ、相手が好意を込めて伝えてくれた言葉まで否定してしまうと、その気持ちを受け取り損ねてしまうことがあります。

褒められたときは、「ありがとうございます」「うれしいです」とまっすぐに受け取ってみる。相手の好意を受け止めることも人間関係を育てる姿勢です。

(3)評価を目的としない

一方で、国内だけで300万部の大ベストセラー『嫌われる勇気』(岸見一郎きしみいちろう、古賀史健/ダイヤモンド社)によると、アドラー心理学では、褒める行為には上下関係が含まれるとして、「『ほめてはいけない』という立場をとります」と書かれていました。

褒める側と褒められる側という関係が強くなると、褒められること自体が目的になり、相手の評価に振り回されてしまう可能性もあります。

大切なのは、相手を評価するためではなく、よさに気づき、敬意や好意を自然に伝えることです。