AIの組織利用による知的生産性の向上

ChatGPTなどの生成AIが社会に広まり始めてからすでに数年が経過した。企業や官庁などの組織においても、文章の校正・要約、資料作成、ブレインストーミング、さらには顧客対応文書の下書きなど、業務のあらゆる場面で生成AIが活用されている。

ただし、その多くは、各個人が自らの職務の範囲内で、生成AIを個別的に独立して使用するという「個人ユース」の域を出ていない。

組織の業務データベースと連携することによって、個人では利用できない情報をもとにAIが応答する事例は増えている。しかし、それでもなお、利用はあくまで「各人が個別にAIを使う」というスタイルにとどまっており、部門間・人材間の知見がAIを通じて自動的に統合されていくような仕組みには至っていない。

しかし、生成AIが「組織の集合知形成」の触媒として設計されるなら、個人利用とは異なる次元の、新たな共有財としての「知」の可能性を切り拓くことができるだろう。

多様な人間の経験や知識がAIを通じて継続的に統合され、対話・分析・発見が繰り返されることによって、組織全体としての「知的生産性」が飛躍的に向上する可能性がある。

手に持った歯車を噛み合わせるビジネスチーム
写真=iStock.com/NanoStockk
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「集合知」がもたらす劇的変化

ここで重要なのが「集合知」という概念だ。

集合知とは、単に「多くの人の意見を集めたもの」ではない。集められた多様な知識や経験が相互に関連づけられ、適切なフィルターと統合メカニズムを通じて、新たな知見や洞察が創出されるプロセスが集合知の核心である。

Wikipediaやオープンソース開発などにおいては、一定のルールのもとで参加者の貢献が累積され、質の高いアウトプットが得られている。組織の中でも、複数部署の知見が集約されて新規事業の方向性が生まれる、あるいは複数の営業現場からのフィードバックが製品改良に生かされるといったケースが増えている。

生成AIを中核に据えた情報集約・要約・提案システムによって、こうしたプロセスをより構造的なものに進化させることが可能となるだろう。