「自分たちは特別」という深層心理
新型コロナの時期、ニュースでは散々「不要不急の外出は控えるべき」という論調で報じていたのだが、自分たちは気にせずに飲み会をやっていたこともあった。飛沫感染は恐ろしいとテレビで報じてはいるが、その裏で皆スタッフルームでお弁当を食べながら話している。こういった小さなダブルスタンダードがあるのも、やはり自分たちは特別だという思いが背景にある。
こうしたエリート意識が精細な情報伝達を壊し、単純化されたニュースを生み出している。いくら世論から離れようと、むしろ「それでいい」という認識が自省の邪魔をする。だから自浄作用が働かず、偏った報道が是正されるどころか、むしろ偏向が加速していくのである。
「俺たち別に左派じゃないのに」
テレビマンは自分で「偏向報道」をしていると思っているのだろうか。
一見矛盾しているように聞こえるかもしれないが、実はほとんどの社員は「自分は偏っている」とは思っていない。むしろ世論の方が偏っているし、間違っていると思い込んでいる。自分たちこそが「中道」であり、フラットで公平な報道をしていると考えている。だからこそ「逆櫓」となり、間違っている世の中を正しい方向に導くのが自分たちの使命だと本気で思っているのだ。
それを示すエピソードがある。news23に異動した直後、居酒屋で小規模の飲み会があった。その時に、「世論がおかしい」という話になった。ある編集長は、新型コロナ対策の重要性を報じると、インターネットで左派的だと批判されると言う。
「なんでコロナ対策を言うと、左派扱いされるんだろうね。俺たち別に左派じゃないのに」と、その編集長は不思議そうに語った。左派と見られることが心外だと言っていたのである。
実は、このインターネットでの批判は的を射たものである。その当時の政治状況で言えば、共産党や立憲民主党などの左派勢力が、外出禁止や営業の禁止など、国家主導の強い対策を訴えていた。中国ではまさに政府主導の厳しい対策が取られており、それによって経済には打撃を与えていたのだが、野党側は中国的な対策を理想化するような主張を展開していた。
対して自民党など与党は、政府が民間企業に規制を強制することには抑制的で、できる限り自由な経済活動を保証した上で「GoToトラベル」などの経済振興策を打っていく方針であった。

