インフラ攻撃でどんな被害が想定されるか

では、日本で同様の機能停止が起きたら、どんな被害が考えられるだろうか。次のような影響を想定する必要がある。

・電力が止まる場合:工場や店舗の営業だけでなく、冷蔵・冷凍設備や家庭の暮らしにも支障が出る。
・港湾や物流が止まる場合:原材料や商品が届かず、生産や販売が滞る。
・通信が止まる場合:受発注、決済、配送の確認などが進まなくなる。
・半導体の製造や輸送に支障が出る場合:必要な部品を確保できず、関連する製品の生産が遅れる。

これらは想定される影響であり、日本全体で同時に起きると予測しているわけではない。それでも、「システムの停止」が「物の流れの停止」につながることは、国内の事例からも分かる。2023年7月4日、名古屋港のコンテナ管理システムでセキュリティ事案が発生し、コンテナの搬入・搬出が約3日間止まった。国土交通省は、物流に大きな影響があったと説明している。

この事件を中国や台湾有事と結びつける根拠はない。だが、参考になるのは、港の施設が物理的に壊れなくても、情報システムが使えなければ荷物が動かなくなるという点だ。

とはいえ、サービスの停止と、設備そのものの破壊は区別したい。米政府の警告は深刻だが、日本の発電所や工場が必ず破壊されると断定できる資料ではない。

夜の横断歩道
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2.偽情報で、人々の判断を混乱させる

サイバー攻撃がシステムを狙うのに対し、台湾有事などで発生が危惧されるもうひとつの要素である情報戦は、人々の受け止め方や判断に働きかける。

マイクロソフトは2024年4月4日、中国共産党と関係する集団による情報工作を報告した。その一例が、同年1月の台湾総統選挙に合わせて流された、候補者支持を装うニセの音声だ。同社はAIで作られた疑いがあるとし、本人はそのような発言をしていなかったと説明している。音声は広く拡散する前に削除されたという。

この事例は、選挙結果が操作されたと証明するものではない。しかし、本人の声に似せた情報を使い、受け手を誤解させようとする手法が報告されている。

台湾をめぐる緊張が高まった場合、日本で警戒したいのは、例えば次のような情報だ。

「全国で大規模な停電が起きる」
「台湾からの輸入は全面的に止まった」
「政府は被害を隠している」
「この地域から今すぐ避難するように」