1000万件超の漏洩が今年だけで3件発生

「タイムズカー」の報道以降も、それを上回る大規模な流出の発表が相次いだ。

「タイムズカー」の利用者に届いた不正アクセスを知らせるメール
写真=共同通信社
「タイムズカー」の利用者に届いた不正アクセスを知らせるメール

旅行予約サイト「skyticket」を運営するアドベンチャーは約1464万件、「焼肉きんぐ」を運営する物語コーポレーションは約1079万件、カラオケ「ビッグエコー」などを運営する第一興商は約872万件(漏えいのおそれ)と、わずか2週間ほどの間に続いている。

東京商工リサーチの上場企業とその子会社を対象にした調査によれば、今年は10月5日までに漏洩件数が1000万件を超える事故が3件発生しているという。この規模の情報漏洩は2025年までの14年間で3件しか起こっていなかった。漏洩の大規模化が進んでいるのは確かだろう。

さらに報道されない中小企業の事例、不正アクセスに気付かないケースなども考えられるため、実際には報道よりも多くの個人情報が漏れていると考えるべきだろう。つまり、不正アクセスによる個人情報の流出はタイムズモビリティ1社の問題ではない。今後も必ず起こり、既に漏れているかもしれないという前提で生きていく必要がある。

安全装置を外したAIが犯罪に使われる

大規模流出の背景にあるのが、生成AIの悪用だ。NHKは10月6日、今年7月以降の被害の増加について、攻撃にAIが悪用されている可能性が高いとするセキュリティー会社の見方を報じている。

生成AIを便利なチャットアプリとして使っている人には、攻撃への悪用は想像しにくいかもしれない。ChatGPTやGeminiなどには有害な依頼を拒否する安全装置があるが、そうした制限がないモデルも存在する。

例えば中国のAI企業Z.aiが公開したモデルを第三者が改変し、拒否の仕組みを取り除いた「GLM-5.3-Flash-Uncensored」がある。私が試すと、鍵の種類ごとに開け方を詳しく出力した。

サイバー攻撃の現場でも、AIは既に使われている。海外のセキュリティー企業Gambit Securityは9月、オープンソースのAIエージェントを組み合わせた攻撃で、ECサイトなど少なくとも27社が侵害され、うち2社からカード情報60万件超が盗まれたと発表した。脆弱性(コンピュータやネットワークに存在する欠陥)の調査から侵入、カード情報を盗み取るプログラムの設置まで、複数のAIが役割を分担していたという。