習近平政権が“回収”を強化している

「国権回収運動」を国是とし、20世紀半ば以降、「中華民族の偉大なる復興」を目指してきた中国は、国外に流出してしまった美術品の回収を急務としている。

オークションでも中国美術品が次々に買い戻されている。その最たる美術品が円明園の「十二支」だ。2000年4月と5月に香港で行われたクリスティーズとサザビーズのオークションでは、猿、牛、虎の像の3体が合計で日本円にして4億円以上の価格で落札された。

そして現在、十二支のうち計7体が中国に「帰還」している。うち4体は特別行政区マカオのポリー美術館にある。「鼠」と「兎」は2009年、クリスティーズによるパリでの競売に出品された。その際、在仏中国人弁護士たちが事前に競売の差し止め請求をしたが、パリの地方裁判所は請求を棄却。紆余曲折を経てフランソワ・ピノーが2013年に中国国家博物館へ寄贈し、現在に至っている。

「2035年までに博物館大国」が政府目標に

しかしながら、清朝時代以来の貴重な美術品というと、大半が台湾の故宮博物院にある。1948年から49年の間、中国の内乱で蔣介石が23万点の美術品・工芸品を台湾へ送ったためである。

国立故宮博物院
国立故宮博物院(写真=Peellden/CC-BY-3.0/Wikimedia Commons)

中国にとっては失われてしまった国宝級の美術品を故宮博物院から取り戻すことも「正義」なのではないだろうか。

福田直子『略奪美術品の行方』(集英社新書)
福田直子『略奪美術品の行方』(集英社新書)

オークションに出たらそれを「買い戻す」こともひとつの方法だろう。何しろ中国には現在、ミリオネアならぬ「ビリオネア」が500人はいるとされる。欧米で何が競売に出されるかを常に監視しながらビリオネアに買いとってもらい、中国の美術館に寄付をしてもらうということも常套手段のひとつとなっているようだ。

ユネスコは、中国の美術品が少なくとも167万点、中国以外の47カ国、200以上の博物館に散らばっていると推定している。

中国は2035年までに「博物館大国」になるとも宣言している。ちなみに北京の中国国家博物館は、入館者数においてルーブル美術館、ヴァチカン博物館に次いで世界第3位となった。

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