食卓は子どもにとって大切な家族の記憶
家族の様子を描いてもらう描画法があります。家族が何かをしている場面を描いてもらうと、食事の場面が描かれることもあります。
子どもにとって食事は、家族みんなが一度に集まる場面として思い浮かびやすいものなのかもしれません。家族が同じテーブルを囲む。誰かがご飯をよそう。自分の隣にお父さんがいる。おかわりをする。
食べられなかったとき、誰かが代わりに食べてくれる。そんな何気ないやりとりが、子どもにとっては、「家族と一緒にいる」という記憶として残っているかもしれません。健斗さんのお母さんは、健斗さんが食事を食べないことに困っていました。
毎回食べないのか、食べるときはあるのか、食べるときはどんなときなのかとうかがうと、「お父さんがいるとき」はよく食べているといいます。健斗さんのお父さんは、出張の多い仕事でした。週末になると自宅に戻り、家族で過ごしていました。
平日はあまり食べない健斗さんも、お父さんが一緒にいるとよく食べているようでした。健斗さんにとって家族で食卓を囲む時間は、栄養を摂るだけの時間だけではなく、気持ちが満たされる時間でもあったのかもしれません。
お父さんは来月から出張が減る予定だと、お母さんは少しほっとした様子でそのことを話されました。健斗さんの話からも、食事が子どもにとって大切な家族の時間であることが見えてきます。
健斗さんのように、一緒に食べる人や雰囲気によって食べやすくなる場合もあれば、祐弥さんのように、身体が安定することで、食事を続けやすくなる場合もあります。
一人分ずつではなく大皿にしてみる
優奈さんは、祖父母と両親と弟の六人家族です。お母さんは優奈さんが「食べない」ことで困っていました。
食卓では、それぞれのお皿に分けて出しているそうです。けれど、優奈さんは出されたものをほとんど食べないといいます。
食べなきゃいけないと思うと、ますます食べられなくなることがあります。一人分ずつ分けて出されると、子どもにとっては「これは食べなければいけないもの」と感じられることもあります。
けれど、好きなものやお腹の空き具合によって、自分で食べられる量を調節できたらどうでしょう。大皿に盛って取り分ける形にしたり、手巻き寿司やバイキング形式にしたりして、自分で選べるようにしてみてもいいかもしれません。
何を選ぶのか。どのくらい取るのか。何が食べやすいのか。何を好まないのか。そうしたことも、少しずつ見えてくるかもしれません。子どもは成長とともに、食べ物の好みも変わっていきます。
「何が好きなのかな」「どのくらい食べたいのかな」。そんなことを知ることができる機会にもなります。
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