山形大学名誉教授「イメージは大きく変わった」
この研究成果を受けて、山形大学名誉教授・松尾剛次はこう述べている。
そして松尾は、2002年以降に山形大学で義光研究を本格化させた結果「従来の3倍以上の義光関連資料を見いだすことができ、新資料の発見によって、最上義光のイメージは大きく変わった」と報告し、山形市史の全面改訂を訴えている。
こうした積み重ねを踏まえて民間では、義光を大河ドラマにする動きが活発化、2025年、ついに吉村美栄子知事は定例会見で「実現に賛成だ。できる限りの協力をしたい」と発言するまでになった(「山形新聞」2025年10月17日付朝刊)。
仙台の伊達政宗が立ちはだかる
さらに、今年4月にはついに吉村知事が東京のNHK放送センターに乗り込み、制作責任者にドラマ実現を直談判。大河ドラマ化の要望は各地で盛り上がっているが、知事がここまでするのは異例だ(「朝日新聞」2026年4月15日)。
おりしも、2028年前期の朝の連続テレビ小説が、山形県上山市出身の斎藤茂吉と妻輝子をモデルにした『ほんのモキチ』になったということもあり、次は大河ドラマだという機運は、県内全域でますます高まっていると地元紙では語られている。(「山形新聞」2026年6月6日付朝刊)。
しかし、東北にはもう一つの注目したい大河ドラマ誘致運動がある。この山形県の盛り上がりに立ちはだかるのが仙台市だ。仙台市でいま実施されているのは、なんと「伊達政宗をもう一度大河ドラマにしろ‼」運動である。民間がやっているのではなく、仙台市のサイトにも堂々とアピールされている。伊達氏がらみならと北海道の伊達市・当別町・白老町、愛媛県宇和島市まで動員している。
政宗没後400年の2036年を控えた仙台市としては、ここで一気に盛り返したいのだろう。しかし、100万筆を目指すと宣言して2025年から実施されている署名は現在2万8399筆(2026年9月1日現在)……達成率わずか2.8%。署名は全国募集とはいえ、仙台市の人口だけでも109万6225人(2026年9月1日現在推計人口)である。『独眼竜政宗』が大河ドラマ史上屈指の名作だったがゆえに、たとえ実現したとしても、前作を超えることはなかなか困難なようだ。
このように、かつて大河ドラマで全国に広まった義光の悪役像を、今度は主役として描くことで塗り替えたい。山形で進む誘致運動には、そんな期待が重なる。あるいは義光に対する山形人の詫びにも思えてくる。策謀家としての姿ばかりが印象に残る義光だが、山形の礎を築き、連歌にも親しんだ人物でもある。その生涯を、今度は義光の側から見てみるのは画期的だ。
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