自動車の運転は人生の質を維持する

現在、私はさまざまなご縁から、高齢ドライバーの運転に関する問題に携わっています。特に、認知機能の低下と自動車運転との関係については、長年にわたり基礎と臨床の両面から研究を続けてきました。

高齢者の運転と聞くと、反射的に「危ない」「すぐに免許返納を」と感じる方もいるでしょう。

しかし、「もの忘れ外来」で患者さんと向き合うなかで、私は、車が高齢ドライバーにとって「生活に欠かせない存在」であることを、日々実感してきました。

堀川悦夫・楠田悦子『免許返納を10年延ばす70歳からの運転学』(プレジデント社)
堀川悦夫・楠田悦子『免許返納を10年延ばす70歳からの運転学』(プレジデント社)

そのなかで、私は次のように考えるようになりました。

「安全に運転を続けられるのであれば、その期間を少しでも延ばすにはどうすればよいのか」
「安全な運転が難しくなった場合でも、生活の質を落とさずにモビリティを確保するにはどうすればよいのか」

免許返納を10年延ばす70歳からの運転学』は、その問いと向き合い続けるなかで生まれました。

この本が、クルマの運転を続けていく場合であっても、運転断念後にクルマではない移動手段へ移行する場合であっても、人生の質を維持することの手助けとなり、ひいては、ライフワークを完遂しようとしている皆さんのお役に立つことができれば、著者としてこれ以上の喜びはありません。