アスリートのパフォーマンス向上に3成分を
私たちの研究の射程は、熱中症にとどまりません。
アスリートにとっては、熱中症予防とともに夏場のパフォーマンス維持が課題です。オーラプテンやタンゲレチンが脂肪酸の燃焼効率を上げ、中鎖脂肪酸が即効性のエネルギーを補給するという3成分の組み合わせは、長距離競技の持久力を支える理にかなったアプローチになるでしょう。
さらに、長時間走れば冬でも体温は上がります。箱根駅伝のような冬季競技においても、年間を通じた継続摂取に意義があると考えています。
血管内皮細胞だけでなく、持久力を担う赤筋(遅筋)細胞、肝臓、消化器官の細胞も熱に弱いことがわかっています。「暑い中でも脂肪酸をしっかりエネルギーに変えて動き続けられる」という効果が血管と筋肉と肝臓などの細胞で実証されれば、スポーツのパフォーマンス向上と熱中症予防の両立という、非常に実用的な成果につながる可能性があります。
熱中症と冬のヒートショックの関連性とは
また、高齢者にとって冬場のヒートショックも深刻な問題です。急激な温度変化によって血圧が激変し、心筋梗塞や脳梗塞を引き起こすヒートショックの死亡者は年間約1万7000人と、交通事故死亡者の6〜7倍にも上ります。
熱中症が高温による血管へのダメージとすれば、ヒートショックは急激な温度変化への血管の対応力の問題です。もしもオーラプテンが血管内皮細胞を丈夫にするのであれば、夏の熱中症だけでなく冬のヒートショックに対しても保護的な効果が期待できるでしょう。
高齢になるほど血管の弾力性は失われ、どちらのリスクも高まります。細胞レベルで血管をケアするという発想は、日本の超高齢社会が抱えるこの二つの課題に同時に応えうるものです。
そのカギとなるのが、ハッサクのオーラプテン、シークワーサーのタンゲレチン、そして中鎖脂肪酸の3成分なのです。それぞれが異なる経路で細胞を守り、組み合わさることで「1+1+1」が「3」を超えるシナジー効果を発揮します。
このように細胞レベルで血管を強くするという発想は、熱中症の季節を越えて、私たちの身体を支える新しい予防の形になるはずです。



