求められるのは「自制心」と「謙虚さ」
こうした「正しさの罠」を乗り越えるために、マネジャーに求められるのは何よりも「自制力」と「謙虚さ」です。
たとえば、あなたが会議で「自分ならもっとよい結論を出せる」と感じたとき、その思いを即座に言葉にしてしまえば、きっとチームの雰囲気は台無しになってしまいます。メンバーは「なんだ、結局自分の中に答えがあるんだ」と感じてしまい、気持ちが萎えてしまいます。
まずは、部下の意見を最後まで聞き切ること。沈黙に耐えて、話をまとめようとする気持ちを抑えて、相手に考えを展開させる時間を与えること。これが「自制力」です。
また、メンバーの提案が自分の考えよりも浅かったり、非効率に思えたとしても、「それは違う」とすぐに否定せずに「なぜそう考えたのか」「どう工夫できそうか」と問いかけてみる必要があります。なぜなら、そこにあなた自身が気づかなかった視点や、新しい解決策が潜んでいることも少なくないからです。これが「謙虚さ」の実践です。
怒りを問いに変える
怒りを覚えたときにマネジャーに求められるのは、「怒りを問いに変える力」です。
たとえば、部下が明らかなミスをしたとします。そのとき、「なんでこんなこともできないんだ!」と叱責するのではなく、「何がこういう判断につながったんだろう」「このミスが起きた背景には、どんな構造的な要因があるのだろう」と問い直してみることです。
これは単なる言い換えではなく、視点の切り替えです。怒りをぶつけるかわりに、関心と探究心を持つことで、あなた自身の感情を制御しつつ、問題の本質に近づくことができます。
成熟したマネジャーは、感情の根底にある「期待」や「信頼」に目を向けます。なぜ、そこまで強い感情を持ったのか? その感情が生まれた背景には部下への期待や信頼があったはずです。
その期待を「怒り」ではなく、「信頼の再表明」として伝えることで、建設的な対話に変換できるはずです。
このほかにも、マネジャーとして伸び悩む人が陥りがちな問題行動はいくつかあります。図表1にまとめたので、参考にしてみてください。
世界銀行グループ(IFC)、Accenture、GE、Googleなど国内外の企業で、マネジメントと戦略実行の両面に携わる。リーダーシップ開発とコーチングを専門とするBright Future Partnersを設立し、企業の事業改革や組織開発を支援、次世代リーダーの育成に力を注いでいる。上智大学法学部国際関係法学科を卒業後、ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院(SAIS)にて国際関係学修士号を取得。国立台湾師範大学国語教学センターに在籍し、中国語とアジア文化を学んだ。個人として中東地域でのシリア難民支援活動にも関わり、現地での経験を通じて「人が力を発揮できる環境とは何か」を探求し続けている。
組織変革、AI・デジタル領域を専門とするプロフェッショナル。人的資本価値を最大化する経営・組織マネジメントのあり方を日々探求しクライアントと向き合っている。コンピュータサイエンス領域での研究者からキャリアをスタート。戦略・企業再生コンサルティング会社を複数経験した後に組織人事領域に転身。組織変革コンサルティング会社の共同創業者兼パートナー、HR TechスタートアップCOOを歴任後、グーグル日本法人の新規営業チームマネジメントに従事。ビジネス・ブレークスルー大学経営学部客員教授。NPO法人BLUE FOR JAPAN理事。趣味はトライアスロンと華道(草月)。慶應義塾大学博士(工学)。
ビジネスの最前線に身を置き、実戦知見を漫画に落とし込む活動を展開。NewsPicksおよびPIVOTにて連載した起業漫画『スタートアップル!』は、両媒体で人気ランキング1位を獲得した。一方で、Googleに新卒入社後、当時最年少で営業部のマネージャーに着任。漫画のストーリー制作手法を営業スキルと融合させた独自のトレーニングプログラムを開発した。同プログラムは延べ300人以上が受講する実績を上げ、組織全体の営業力強化を推進。現在はHubSpot Japanにて営業部長を務める。
