マネジャーである前に一人の人間
マネジャーは「マネジャーである前に、一人の人間である」という事実をしっかり認識しておく必要があります。自分にだって得手不得手があり、他者を誤解することもあれば、相手の置かれている環境や思いを見落とすこともあります。
だからこそ、自分のあり方や振る舞いが、相手の目にどう映っているのかを問い続ける姿勢が欠かせません。マネジャーという肩書きにあぐらをかき、「自分は正しい」と思い込んでしまうことこそが最も危ういのです。
チームをエンパワメントするというのは、リーダーが正義を振りかざすことでも、正解を提示することでもありません。大切なのは、メンバー一人ひとりが意見を持ち、それを表現し、自ら考え、行動する力を信じること。そして、その力を自然に引き出せる環境を整えることが私たちマネジャーの仕事なのです。
いつの間にか「レッテル貼り」をしていないか
マネジャーとしてもう1つ気をつけておかなければいけないことが、「レッテル貼り」や「切り捨て」のような言動です。
たとえば、「Aさんはいつもやる気がないなあ」「Bさんはコミュニケーションが苦手だよね」といった何気ない一言は、あなたにとってはただの感想や現状分析のつもりでも、それを聞いている周囲のメンバーには、大きな影響を与えます。
そうした言葉は、本人がその場にいなくてもチームに伝わり、「あの人はそういう人なんだ」
という固定観念を根づかせてしまいます。そして、知らず知らずのうちに本人の発言機会を奪い、挑戦のチャンスを遠ざけ、チームの結束を壊してしまうのです。
その場にいたメンバーも、「自分も陰で何か言われているのでは」と疑心暗鬼になり、信頼関係が少しずつ揺らいでいきます。万一その言葉が本人の耳に入れば大きな痛手となり、自己肯定感や意欲に深刻な影響を及ぼすこともあるでしょう。
マネジャーが不用意に放った一言が、メンバーの可能性の芽を摘んでしまう――その責任の重さを、私たちは深く理解しておく必要があります。
マネジャーには「過去ではなく、未来に目を向ける姿勢」が求められます。現状の延長線で相手を判断せず、その人がこれからどう成長できるのか、どんな可能性を持っているのかに目を向け続ける。エンパワメント型マネジャーにとって、それは揺るがぬ基本姿勢であるべきなのです。