「国旗損壊罪」を作りたいのは、国旗のためではない

高市首相は今回の衆院選を経て、自民党を戦闘的な右派政党に生まれ変わらせようとしているのではないか。純化路線の始まりです。菅義偉元首相の引退を機に、それをたしなめる長老やベテランがいなくなりました。いま、高市氏は「国旗損壊罪」の創設に意欲を示し、自民党と日本維新の会の連立合意で通常国会での制定を目指しています。日本国旗を破いたり燃やしたりするなど損壊した場合、刑事罰を科すというものです。

しかし、近年、国内でそんな光景を見たことがあるでしょうか。確かに、外国では日本国旗を燃やすなどの抗議活動を目にすることがあります。1980~90年代の米国で安くて性能がいい日本製の自動車が米市場を席巻した時、自動車産業で働く人々が日本車を叩き壊し、日の丸を焼くなどのパフォーマンスを行ったことがありました。また、中国や韓国の反日デモで、日の丸が燃やされることがしばしば起きています。

国内では、87年に沖縄国体で日の丸の掲揚に対し、青年が国旗を引き下ろし焼き捨てたことがありました。しかし、その男性は現行法の器物損壊罪などで処罰されましたし、もう40年近くも前の出来事です。そもそも日本では反政府的なデモや集会であっても、国旗や他国の旗を焼いたり踏みつけたりして意思表明するというカルチャーはありません。要するに、高市首相の本当の狙いは愛国心や国家に対する忠誠心を国民に求めたいということなのでしょう。