『バカの壁』で語られるバカとは

まずは、「頭がいい」とついになる「バカ」について、東京大学名誉教授で解剖学者でもある養老孟司さんが論じた『バカの壁』を取り上げます。

同書は450万部を超える大ベストセラーとなり、2000年代以降の「頭がいい」という概念を決定づけたとも言える1冊でしょう。ここで語られる「バカ」とは、知識や学力の不足する人を指すのではなく、自分が理解できる範囲でしか、ものごとを判断せず、他者の考えを受け入れようとしない、「壁」を心に作っている人を意味します。あれ、なんだか周りにもたくさんいそう……。政治家だか政治屋だかにもたくさんいそう……。

当時の書籍販売データによると、読者層全体の半数程度を占めたのが30〜40代だったそうです。働き盛りのビジネスパーソンが、「バカだと思われたくない」という焦りから手に取ったことがヒットにつながった側面も、大いにありそうですね。